改正労働者派遣法が、11日に成立しました。今月30日から施行されます。
改正の要旨は
・会社側=労働組合の意見を聞くことを条件に現在は最長で3年までとなっている派遣期間の制限を撤廃する。
・労働者側=1人の派遣労働者が同じ部署で働ける期間を3年に制限する。
・すべての労働者派遣事業を許可制にする。
・雇用安定・キャリアアップ措置を派遣会社に義務付ける。
・正社員との均衡待遇の推進
というものです。
派遣期間制限に着目すると、これまでの派遣法では、会社は、法で定められた26の専門職について期間の制限無く派遣労働者を受け入れることができました。しかし、この制度を定めた頃から働き方も様々に変わり、専門職の区別があいまいとなって期間の制限が無意味になっていました。
今回の法改正の趣旨は、
派遣労働は、 臨時的・一時的なものであることを原則とするという考え方のもと、
正社員が派遣労働者に替わることを防止するとともに、
派遣労働者のより一層の雇用の安定、キャリアアップを図り、
派遣労働者としての働き方を選ぶ者については待遇の改善を図るもの
とされています。
しかし、今回の改正法では、会社は労働組合の意見を聞くことによって、人を変えればいつまでも同じ業務に派遣労働者を雇うことが出来るので、正社員が派遣労働者に替わりかねないものといえます。
また、今まで派遣期間の制限がない専門職として派遣労働についていた人でも、最長3年しか同じ「課」で働けなくなり、せっかく今まで蓄えた知識や経験を活かせず、雇用が不安定になる恐れがあります。
このように、この改正法には問題がありますが、期間の制限なく派遣労働者として働くことを余儀なくされていた派遣労働者に、正社員への道を開く必要がありました。他方、会社には、即戦力としてスキルの高い派遣労働者を雇用する需要もあります。
会社は、人を変えればいつまでも同じ業務に派遣労働者を雇うことが出来るとは言うものの、スキルの上がった派遣労働者を3年で簡単に切ることはできないでしょう。正社員の道を探る派遣労働者としても、このような会社の必要性に合わせて、積極的にスキルアップを図り正社員の道を開いてほしい。今回の改正は、このような健全な趣旨に基づいて定められたものであったと信じたいですね。