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新型コロナウイルス 緊急事態宣言が出た場合の休業手当は?

 新型コロナウイルスの感染拡大によって、緊急事態宣言が出され企業が社員を休ませた場合に、休業手当の必要があるか否かについて、最終的には司法の判断に委ねられることになります。

 新型コロナウイルス特措法に基づき、内閣総理大臣が緊急事態宣言を発令すると、宣言により都道府県知事は、(1)外出の自粛要請(2)施設やイベントの主催者には施設の使用停止などを要請・指示(3)臨時医療施設の開設に必要な土地の強制使用-などの措置が可能になります。

 緊急事態宣言の発令よって、実態上経済活動を行うことが出来なくなり、社員を休ませる企業が増加することが予測されます。

 労働基準法では、企業が「会社都合による休業」として社員を休ませる場合、「平均賃金の6割以上の休業手当」を支払う義務があるとされています。

 ところが、国が決定した緊急事態宣言により、経済活動を行えなくなり社員を休ませざるを得なくなった場合、「会社都合による休業」とは言えなくなる可能性があり、厚生労働省も「会社都合による休業」として休業手当の支払い義務を会社に課すことは難しいとの見解を示していました。他方、加藤勝信厚生労働相は7日の記者会見で、「自宅勤務などで労働者を業務させることが可能か、他に就かせる業務があるかも含め総合的な判断が必要」として、休業手当の支払い義務について一律に否定するものではないとの見解を示しました。

 いずれにしても、緊急事態宣言が発令されることによって、企業が休業手当を支払わなければ、社員の生活を困窮させることになります。今後、雇用を維持するための助成金である雇用調整助成金が一層強化、要件の緩和や助成額の見直しがなされ、緊急事態宣言に備えることが考えられますので、状況の推移に注視していきましょう。このページでも随時情報を更新していきたいと思います。