労災保険給付等請求の手続き

労災保険給付請求はどんな場面で申請できるのでしょうか

【仕事または通勤が原因でケガや病気になって病院で治療を受けた場合】

仕事または通勤が原因でケガや病気になって、指定医療機関で受診した場合、指定医療機関へ請求書を提出すれば、従業員は治療費を負担することなく、治療を受けることができます。

他方、仕事または通勤が原因でケガや病気になって、指定医療機関以外で受診した場合、ひとまず受診した医療機関へ治療費を支払っていただきます。その後、労働基準監督署へ請求書を提出し、調査後に給付が決定されれば、指定された振込口座へ支払った治療費が支払われます。

ケガや病気の治療のために、症状が治ゆ(症状固定)するまで、治療を受けることができます。

【ケガや病気のため会社を休んで賃金を受けなかった場合】

仕事または通勤が原因でケガや病気になって、会社を休んで賃金を受けられない場合、労働基準監督署へ請求書を提出し、調査後に給付が決定されれば、休業4日目から、1日につき、給付基礎日額の80%(保険給付60%+特別支給金20%)の休業(補償)給付が支払われます。

通勤災害ではなく業務災害によってケガや病気になって会社を休んだ場合、休業の初日から3日目までについて、事業主が休業補償(1日につき平均賃金の60%)を行います。

ケガや病気による休業が長期にわたる場合は、1ヵ月ごとに請求します。

【ケガや病気のため会社を休んで1年6ヶ月が経過した場合】

療養開始後、1年6ヶ月を経過しても治ゆ(症状固定)しておらず、障害の程度が重い場合、休業(補償)給付よりも手厚く保護するため、傷病等級に応じて、傷害(補償)年金、傷病特別支給金および傷病特別年金が支払われます。

傷病(補償)年金は、1年6ヶ月を経過しても治っておらず、傷病等級にあたる場合に、その月の翌月分から支給され、毎年2月、4月、6月、8月、10月、12月の6期に、それぞれの前2か月分が支払われます。

 傷病(補償)年金は、請求手続によって支給されるものではなく、1年6ヶ月を経過しても治ゆ(症状固定)しない場合、その1ヵ月以内に「傷病の状態に関する届」を労働基準監督署長に提出すれば、労働基準監督署長の決定に基づき支給されます。

【ケガや病気が完全に治っていないのに、治ゆ(症状固定)と診断された場合】

仕事または通勤が原因でケガや病気になって、療養をしていたけれど、完全に治らず症状が固定した場合には、労災保険を使って医療機関で治療を受けることはできなくなります。もし、症状が固定して後遺障害が残った場合、労働基準監督署へ請求書を提出し、障害等級の認定後に給付が決定されれば、障害の程度に応じて、障害(補償)給付が支給されます。

請求書の提出に当たって、各請求書の裏面の診断書に、医師または歯科医師の診断を記入してもらう必要があります。この診断料は、療養(補償)給付の費用として、併せて請求する必要があります。また、必要に応じて、レントゲン写真等の資料を添付して提出しなければならない場合もあります。

症状固定及び障害等級の認定の際は、必要に応じて専門医による症状の確認を求められる場合があります。

【ケガや病気によって重い後遺障害が残り、介護が必要となる場合】

仕事または通勤が原因でケガや病気になって、療養をしていたけれど、重い後遺障害が残った場合で介護を受けている場合、労働基準監督署へ請求書を提出し、給付が決定されれば、介護の状態に応じて、介護(補償)給付が支給されます。

請求書の提出に当たって、医師または歯科医師の診断書、介護の費用を支出している場合には費用を支出して介護を受けた日数と費用の額を証明する書類の添付が必要となります。

介護(補償)請求は、1ヵ月ごとが一般的ですが、3か月分をまとめて請求しても大丈夫です。

【仕事または通勤が原因で従業員が死亡し、遺族に生活保障が必要となった場合】

仕事または通勤が原因で従業員が死亡した場合、その遺族の生活保障を図るため、請求書を労働基準監督署へ提出し、給付が決定されれば、受給資格を有する従業員の遺族に対し、遺族の数などに応じて、遺族(補償)年金が支給されます。

遺族(補償)年金は、支給要件に該当することになった月の翌月分から支給され、毎年2月、4月、6月、8月、10月、12月の6期に、それぞれの前2か月分が支払われます。

他方、被災従業員の死亡当時、(1)遺族(補償)年金を受け得る遺族がないとき、(2)遺族(補償)年金の受給権者がすべていなくなったときで、すでに受給権者であった遺族に支給された年金の合計額が給付基礎日額の1000日分に満たないときは、請求書を労働基準監督署へ提出し、給付が決定されれば、従業員の遺族のうち最先順位者に対し、給付基礎日額1000日分を限度に、遺族(補償)一時金が支給されます。

請求に当たって、死亡診断書や個人との関係を証明できる書類等の添付書類の提出が必要とされています。

【仕事または通勤が原因で従業員が死亡し、葬祭を行った場合】

 仕事または通勤が原因で従業員が死亡し、遺族または被災従業員の会社が葬祭を行った場合、請求書を労働基準監督署へ提出し、給付が決定されれば、葬祭料(葬祭給付)が支給されます。

 請求に当たって、死亡診断書等の提出が必要とされています。

【会社の健康診断で異常の所見があると診断されたとき】

 会社で行われた定期健康診断など(一次健康診断)で、脳や心臓疾患に関連する一定の項目について以上の所見があると診断された場合、一時健康診断を受けた日から3か月以内に、健康診断給付病院などを経由して都道府県労働局長に請求書を提出すれば、労災病院または都道府県労働局長が指定する病院などで、一年度に1回、二次健康診断と特定保健指導を自己負担なしで受けることが出来ます。

 請求するに当たって、一時健康診断の結果を証明することが出来る書類(一時健康診断の結果の写しなど)を添付する必要があります。

【従業員が労災事故にあったとき、会社がしなければならない措置】

 事業主は、従業員が労災事故にあったとき、死傷病報告書を提出しなければなりません。

 死傷病報告書には、業務上災害による休業日数によって2種類あります。
  1.休業日数が4日以上の場合 労災事故が起きた後、遅滞なく提出
  2.休業日数が4日未満の場合 労災事故が起きた後、四半期に1度提出

 死傷病報告書は、労災の発生した事業所管轄の労働基準監督署に提出しなければなりません。

 届出を行なわなかった場合、安衛法第120条により、50万円以下の罰金を科される可能性があります。


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